3days
1年後俺は何気なく受けた高校を合格しそこで再び男と出会った それからさらに一年がたった…… 〜再びマサムネ〜 春休みの午後の生徒会室、天窓から降り注ぐ暖かい日差しを浴びながら新入生歓迎用の 議案書をまとめているといつの間にやら眠ってしまったらしい 目を覚ますとコーヒーの香りが漂っていた 「ああ…目が覚めた?相変わらず良く眠るね…マサムネ」 「ワタナベ……会長……」 慌てて上体を起こすと肩にコートがかけられていた。 外を見るともうあたりは暗い…どれくらい眠っていたのだろう 「2、3時間くらいかな…」 って相変わらずなぜ人の心を読むようなことを…… 眠っている脳みそを慌てて覚醒させながらぼんやりしていると、 会長がコーヒーの入ったマグカップを二つ持ってきた 「砂糖は4つだったよね?」 「覚えててくれたんですか?いただきます」 2年前に交わした何気ない会話を覚えてくれていることが嬉しかった 温かいコーヒーが覚醒を更に促す 「それにしても…寝る子は育つというけど本当に背が伸びたね…  今はもう俺より高いかもな?」 「おかげで、2年で20センチ以上伸びましたよ……会長はあれから止まってますね」 出会った頃会長は俺の事を小学生と間違えてやがった、そのことを思い出して 腹立ったのでちょっとだけ憎まれ口をたたく 「外見は成長してなくても中身で成長したんだよ俺は…って自分で言えるほど  成長したかどうかは疑問だけどね……」 2年前出会った時と今とでは会長は確実に成長しているだろう 俺は成長しているのだろうか…… いまだに色々なところに敵を作って、暴れまわって他の人間に迷惑かけて…… 「敵を作らないことが成長じゃないよ……マサムネ」 だ……だからなぜに考えを読みますか? あ〜っまったくこの人には一生敵わなそうだ…… 「あの時……どうして一度も暗証番号を聞こうとしなかった?」 コーヒーを啜りながらあのときの思考を思い出す 「多分聞いても教えてもらえなかっただろうし……  それに私はあの時に3日間付き合うと自分で決めたんだから、  途中で聞いてもしょうがないことでしょう?」 それを聞いた会長は急に笑い出しこういった 「やっぱり敵わないなぁマサムネには……」 自分が敵わないと思っている人間に敵わないといわれるのは、なんか変な気分だ そして気になっていたあのことを聞いて見たくなった 「もう夢で魘されることは……?」 「うんもう平気……魘されてたら心配してくれる奴もいるしね……  彼に随分救われてるよ」 「ヤマグチさんですか?……そっちの趣味はないんじゃなかったんですかね?」 俺は少し意地悪く言ってみた、会長にはもはや学校公認のような間柄の相手がいる 「初めてのキスが15で相手が男だったからねえ……それで目覚めたのかもな」 飲みかけのコーヒーを噴出してむせる 「く…貴様それは思い出させるな!!」 「わぁーやっと昔のマサムネの口調に戻ったー。たまにこの口調聞かないとね」 会長は笑ってコーヒーを飲んだ 「今日はこれ飲んでもう止めにして、明日雪男たちに手伝ってもらおう」 雪男ってとこをちょっと強調しているようだが気にするものか… やっぱりこの男には敵わない……いや……敵いたくない そんな思いと共にコーヒーを一気にあおる、 冷めかけのコーヒーはさっきよりも甘く感じて美味しかった
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