青き衣と白き天使の翼
「んん、着ちゃった」 わたなべは生徒会長室の壁に掛けられた全身鏡に映った自分を見てほくそ笑んだ。 左斜め45度の角度からのカタチが最も美しいと感じていた。 テキスト学園高等部、爽やかな笑顔と爽やかなエロスで他校の女学生からも嬌声を 上げられる生徒会長わたなべはスクール水着が大好きだった。今日はスクール水着 を身に纏い、自らの姿を鏡に映して悦には入っているのだ。 このスクール水着はわたなべを慕っている人間が生徒会長室に置いていったモノだ。 「しかし、この肌触りといい、学年と名前が入っているところといい……まさに小  宇宙!ランランララランランラン、その生徒会長、青き衣を纏いてテキスト学園  に降り立つ、なんてねー」 わたなべは昨晩、夜なべをしてスクール水着に「3−1 わたなべ」と縫いつけて いる。指にはバンドエイドがたくさん巻き付けある。それくらいこのスクール水着 を着るのが楽しみだったのだ。 悦に入りながら、鏡の前でクルッと回転する。線の細い手足にスクール水着は良く 映える。胸の周りは少々余っているものの、股間だけははち切れんばかりに膨らん でいる。 「俺……すげー似合う……スクール水着の天使みたいだ……」 わたなべはそういった後、目を伏せ頬を紅潮させて極小さな声で呟いた。 ……兄貴たんにも、見せたいな。 ビクンッ、と呟きに反応するかのように彼の股間が蠢いた。出会って直ぐに恋に落 ち、一時間後に愛を語り合い、二時間後には熱く火照った肌を重ね、三時間後に涙 ながらに別れた彼の恋人、兄貴。 その時の情事を思い出すたびにわたなべの股間はビクンッと跳ね上がった。今日は スクール水着の背徳感も付き合って、ビクッビクッと膨れ上がり、チラチラとご子 息様が顔を出した。 「ハァハァって兄貴たん言ってくれるかなぁ」 そんな甘美な妄想に割って入ったのはノックの音だった。 「わたなべさぁん、生徒会運営のことで教えていただきたいことが……」 ビクリッ、と今度は彼の体自身が跳ね上がった。 (まずいッまずいッまずいッ、ここでこんなかっこを見せるわけにはいけないっ) 声の主に心当たりがある。それだけに彼はよけい焦ったのだ。 「あ、ごめん、今、裸だからちょっと……」 「は、裸!?裸ですかっ」 驚愕といっていいほど、相手の裏返った声がドア越しにに響く。 (し、しまったーーー。宅配便ならおかしくないけど、ここは生徒会室だぁぁぁ) 「いや、あああっと」 「え、でも、ボ、ボクはわたなべさんとなら気にしません」 「俺とならって……健くんだろ?ちょ、ちょっとまって……いや、まだ開けちゃだめーーーー」 相手は中等部の生徒会長の健であった。中等部の生徒のカリスマであり、隣の女学 院のお姉さま方にも絶大な人気を誇るアフロで天然な男の子だ。狙いすぎているふ んどしもたまに見られるのだけど、それも萌えるんだな、いや、萌えるらしい。恥 ずかしがってないで、もっとお姉さん達に見せてあげなさいって感じだ、もとい、 感じらしい。 (いかん、いや、健くんとなら嬉しいけど、いやしかし、裸ならまだしもスクール  水着だぞ、俺) 「開けますよ、開けちゃいますからねッ」 「ま、待ッて、せめて脱ぐまで」 「え?わたなべさん、裸じゃないんですか?もしかして……ボクのタメに脱ぐんで  すか?あ、だったら脱がなくていいですっ、ボクがゆっくりわたなべさんの服を  脱がしてあげます!!」 すでにわたなべはパニックの頂点に達していた。 「あたたっ、なんで脱げないんだっ」 「だから脱がなくてもいいですって。入りますよー」 健が扉の取っ手をがちゃりと回す。スクール水着からまだ左の手しか抜けていな かった。 (……もうだめだ) わたなべは目をつぶり諦めかけた。 が、可愛い後輩に見苦しい姿なんか見せたくはない。堂々としているべきだろう。 彼は頭をかぶりふるとそのまま生徒会長のイスに腰をかけた。そして外れたスクー ル水着の肩紐に再び左手を通して、足を組んだ。 「わたなべさぁぁん」 可愛らしい笑顔とともに扉が開かれたが、そこで健の動きは全て止まった。詰め襟 を着た格好いい「わたなべ会長」を想像し密事を期待したのに、待っていたのは 「スクール水着を着たわたなべ会長」だった、としか言いようがない表情を浮かべ ている。 「どうしたんだい?慌ただしいな」 わたなべは平静を装い、肘掛けの上に腕を置き指をくんだ。 「ドアを閉めてもらえないかな、健くん」 「は、はい……えっと、あの……」 健は我を取り戻したとは言えないが、言われるままに後ろ手でドアを閉めた。 「どうしたんだい?もっとこっちに来なさいな」 「えっとえっと」 「あ、この格好かい?気にしないでいいよ、普段着だから」 わたなべは笑顔を顔に張り付けたまま、付け加えるように「誰にも内緒だけどね」 と口に指を当てて見せた。 「普段、着ですか……」 健の瞳に徐々に精気が戻るのが見て取れた。 「びっくりしたかい?」 「びっくりしました……でも、イイですッ。わたなべさん、すごく、すっごく……綺麗だ」 わたなべは健の純な反応に内心胸をなで下ろした。緊張が安堵に変わると次は別な ものがこみ上げてくる。 (これは劣情、だ) 渡辺は心の中でそう呟くと、卓上のスイッチに指をかけゆっくりと押した。 「あっ」 健は再び驚いて声を上げる。部屋の照明が落ちたのだ。正確には燃えるような深い 紅いライトが点いてはいたが。 「あの……」 「これ以上、言葉はいらないだろう?俺とキミの間には……さあ、こっちに来る  んだ」 そこまでいってわたなべは健に向かって手招きをした。 健は誘われるままにわたなべのもとまでフラフラと歩き出し、わたなべのもとにた どり着くと膝の上に抱きかかえられるように座った。 「あ、あのぅ、わ、わたなべさん……」 わたなべは微笑んだまま、健の唇に右手の人差し指をつけてそれ以上の言葉を制し た。左手で健の体を支え、右手で服を脱がしていく。ゆっくりとズボンのベルトに 手をかけて、そのまま一気にズボンを引き抜いた。 「あぁ……」 健が羞恥にまみれたたように顔を真っ赤に染め上げる。 「これがキミのふんどしかい?」 わたなべが問うと健は真っ赤に顔を染めたままこくりと頷いた。 可愛らしい子だなぁとわたなべは微笑みながら、白い布地の上からゆっくりと獲物 をなで上げた。わずかな膨らみがどんどん固さを増している。 「あっあっ、だめ、わたなべさん、ボク、ボク、そんなコトしたら」 「どうなるんだい」 「へ、変になっちゃうんですぅぅっ」 「変になりなよ」 「いや、いや、こわいっ」 「こわい?そんなこという口は……こうだっ」 わたなべの唇が健の唇に覆い被さった。そして強引に健の口を割り舌を進入させる。 無論右手はより刺激を与え続けるために擦り続ける。 「んっんっんんんんんっあぁぁぁぁ…………うっ」 あっという間だった。 健の体は一気にその力を失い、ふんどしには汗ではない液体が飛び散り湿り気を帯 びた。顔は紅潮し、わたなべの顔を焦点を失ったまま見つめ続けている。 「わ、た、なべ、さん……わたなべ、さん」 「ん?なんだい?」 「ボクはわたなべさんなしじゃ、もう、生きられません」 わたなべはその答えを言葉に出さなかったが、健の体を支える手に力を籠め再び 軽く口づけをした。 「わたなべ、さぁぁん」 感極まって健がしがみつく。 わたなべはクスリと笑って「こんどは健くんがスクール水着を着てみるかい?」と 言った。健はわたなべに抱きついたまま即答した。 「はい、期待に応えます。……必ず」
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