イタズラ
知らぬ間に、兄貴を挑発しているかのような表情を見せる健。 しかし本人に全くその気は無い。むしろ、早くこの部屋から出 て行って欲しいと願っている。 兄貴は缶コーヒーをテーブルに置き、スルスルとネクタイを外 すとそのまま立ち上がった。 そしてそのネクタイで、悪化した熱の所為で身動きを取れない 健を格子に括り付ける。 「…健…貴方の中を、…………見せてよ」 兄貴は、健の服を丁寧に脱がしながら、独り言のように呟く。 「……」 その兄貴の独り言を聞いて、両手首をネクタイでベッドの格子 に括り付けられ、身動きの取れない健が、自分の身にこれから 起こるであろう色事の予想をし、半ば諦めたように目を伏せた。 「恐い?…大丈夫、優しくするから……」  無言のまま、大人しく自分のされるがままになっている健の 頑なな表情を見て、兄貴は彼の頬に触れながら、自分に言い聞 かせるようにそう告げる。 そして、一度止めた手をまた動かし始め、兄貴は漸く健の着て いる物を全て剥ぎ取った。 「やっぱり貴方は綺麗だ、とても…」 無防備に、自分の目の前で全裸を晒す健の身体をマジマジと見 る兄貴の瞳は、その時、とてつもなく妖しい光りを佩びていた。 「……」 一方、健の方は羞恥のあまり、唇を噛んで目を固く閉じている。 しかし、兄貴が健の男根を手に取り、それを軽く扱き始めると、 それまで無言で堪えていた健の口から、 「…うっ…」 という、悲鳴にも似た声が漏れた。そして、兄貴が何度か手を 上下に動かしていると、健は 「…あぁっ…!」 と、声を上げると同じに、あっけなく兄貴の手の中に果てた。 健の放ったものを舌で舐め取ると、兄貴は静かに健の両足を広 げ、今度は健の双丘の中心にある蕾に手を持っていく。 そして、固く閉じたその蕾に、指を一本ゆっくりと押し入れた。 「んゎっ!…ヤメッ…」 入ってくる兄貴の指に、健の背中が思わず仰け反る。 一瞬兄貴は躊躇ったが、指を奥へと進めていき、穴を広げるよ うに指を中で掻き回した。 その瞬間、健がまた 「あぁっぅ」 と、一際大きな声を出し、更に背中を反らす。 やがて、兄貴の指の動きに合わせて、健の下半身がビクンビク ンッと反応するようになった頃、兄貴は自分の穿いているスー ツパンツのベルトを外し、チャックを下ろして、天を仰いでい る自分の男根を、指を抜いたと同時に健の中に強引にこじ入れ た。 「…はあぁっ」 今までとは違う、想像を絶する圧迫感に、健の目尻から涙が止 めど無く溢れてくる。 それを唇で拭いつつ、兄貴は健の内壁を押し開きながら、腰を 埋めていった。 「っっ、いいっ…」 自分の根元まで健の中に埋め尽くすと、健は何とも常人を逸し た妖艶な輝きを全身から発しながら、兄貴の鼻先に顔を近づけ て囁いた。 「…ふぁぅっ…」 そして、一呼吸おいた後、兄貴はその逞しい肢体を存分に使っ て、健の中を擦り上げていく。 「…んっ…はっ…」 二人の呼吸が部屋中に響き渡り、グチュッグチュッという何と もイヤラシイ音が木霊し出すと、兄貴の額から汗が流れてくる。 「……あ…に、、、き。。。。」 苦痛に顔を歪ませてはいるが、その時、この行為が始まってか ら初めて健が言葉を口にした。 が、兄貴は健が自分の名を呼んだ事にも気づかないほど、健に 気をもっていかれ、陥っている間に、健はやっと解放された下 半身を使って兄貴から身を遠くへ移動させた。 「健?」 涙で辺りがよく見えていない様子の健は、兄貴が自分の方へ向 かっている事に気付かない。 後を追って行き、逃げようとする健を両腕できつく抱き締める。 だが、健の表情は、相変わらず険しいだけだった。 日が暮れ、外が薄暗くなった頃、兄貴はやっと健の手首のネク タイを解いた。 「…ゴメンな……こんな事……、でも、俺は貴方だから欲しか  った……」
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